読書案内 「2円で刑務所、5億で執行猶予」 浜井浩一 著(光文社新書 ¥760)

1 この本は、法務総合研究所などを経て、大学の先生をしておられる人が書いた本です。

これまでに、私も他の本2冊を読んだことがあります。刑務所のことについてとても詳しい先生です。

 

2 日本は世界一安全な社会です(34頁)。

暴力犯罪については先進国の中で断トツに低いです。

このことをよく知らずに凶悪犯罪が増えたとかいう人がいますが、これは事実ではありません。

このことをこの本を書いた先生も強く主張しています。

一番多いのはオーストラリア、イギリス、カナダの順です。

日本の刑法犯の80%は窃盗で、その4分の1は自転車盗です(35頁)。

次に殺人についても、日本では1日に2人未満です。

しかし、多い日には1日100人以上の人が自殺しています。アメリカの2倍です(割合で)。

日本は他人からの暴力という点で安全な国ですが、人が安心して幸せに生きるという点では

疑問だといわれます(36頁)。私もそう思いますね。

 

3 次に日本の社会について、機会の平等をおろそかにして競争主義を導入するだけでは、

階層格差の分離、固定化をますます助長することになりかねません(47頁)。

全くそのとおりだと思いますね。

また、最近の犯罪傾向として、万引きは少年でなく高齢者の犯罪になったということです(50頁以下)。

2006年には高齢者はその30%を超えて、少年のそれを超えました。高齢者の孤立化という背景があります。

 

4 警察から検察庁に送られる犯罪者は年間200万人です。

その80%が検察官の段階で最終的な処分を受けて終りになります。

そのなかで、公判請求といって裁判になるのは200万人の7%でしかありません。

そこで、この14万人のうち、実際に刑務所へ行く人は3万人位です。

この流れはこの本の114頁に図解してあるので興味のある人は買ってみて下さい。

 

5 次にこのことを一般の人にもわかって欲しいと思いますね。118頁に書いてあることです。

「受刑者の中には、教育水準やIQが低く、不遇な環境に育ち、人から親切にされた経験に乏しいため、

すぐにふてくされるなどコミュニケーション能力に乏しい者が多い。

当然、刑事司法の中では、示談や裁判官の心証を悪くしがちである。

その結果、判決では、全く反省していないと見なされ、再犯の可能性も高いと実刑を受けやすい。」

この点は、まさしくその通りです。まだまだ、おもしろい内容が書かれています。

たまには、こういう本も読んで下さい。

  mae

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