読書案内 「世界経済はこう変わる」神谷秀樹 小幡績 著(光文社新書 ¥740)

1 この本は、ウォール街を知り尽くす銀行家神田氏と慶応大学の准教授小幡氏の

対談で作られている本です。

世界経済の失速が止まらない今、本当にあるべき社会と経済、国家について話し合われています。

 

2 アメリカでは2009年中に1万2000店舗がクローズするということです(12頁)。

私も本年ハワイのアラモアナに行ってきましたが、あの有名なショッピングモールでも

クローズした店がありビックリしました。

自動車にいたっては前年同期比で売上が50%減ということです。

 

3 今回のバブルは、資本が余ってしようがない、カネ余りによって起きた。

余った資本をどこかで運用しなければならなかったが、あまりに余っていて、

投資先が実体経済にはもう残っていなかった。

でも資本は利益を上げて増えないといけない。

しょうがないからバブルでも作って、皆で増やすかということになる(23頁)。

ここが今回の問題なんですね。つまり、資本主義が終わったということなんですね。

 

4 アメリカの住宅ローンは全部で10兆ドル(900兆円)もあり、

その内5兆ドルを「フレディマック(連邦住宅貸付抵当公社)やファニーメイ(連邦住宅抵当金庫)」といった、

GSE(政府系住宅金融機関)が保証している(38頁)。

これが不良資産化していくというのだから恐ろしい。

底なし沼だと言われていますね。

また、アメリカでは毎月60万人以上が失業して、失業手当を受けている人がなんと

500万人を超えたと言われています(40頁)。

 

5 大事なことです。

現在、自民党のやっている公共事業バラ撒き政策はケインズの財政支出でないと

指摘されていることです(67頁)。

ケインズは、政府出動が、人々の将来に対する見方を変化させることにより、

政府支出が呼び水となって民間部門の消費と投資が動き出すことを想定している。

今、日本でやっているのは政府が民間の代わりに需要を供給していることであり、

ケインズの財政支出ではない。

ケインズは刺激策を取れといっているので、現在の状況はその時ではない(68頁)。

今は、そんなアホなバラ撒きでなく、大事な社会的インフラを守ることであるといわれる(69頁)。

全くその通りだとわたしも思いますね。

このまま、有り金を全部突っ込みような政策をすることは社会を崩壊させると思いますね。

 

6 次に鋭いことが書いてある。

金融危機に陥ってしまった根本原因は、大きくなることがいいことだと

皆が思ってきたことだといわれる(80頁)。

そう思いますね。

現在の銀行は大きいから潰れないというより、大きすぎてつぶせないということです。

 

7 驚くべきことが書いてある。

ゴールドマン・サックスの株を5億ドル売って1ドルも税金を払っていない人がいる。

ハンク・ポールソンという元会長である。

何故なら、この人アメリカの大使になり、アメリカのノンレジデント(非居住者)で、

治外法権特権を使い、課税を免れていることです(84頁)。

そろそろ日本も強欲資本主義に従うことはやめることだと思いますね。

年間3万人以上も自殺する日本社会の価値観は問い直さなければならないとつくづく最近思う次第です。

  mae

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