読書案内 「刑務所の風景」 浜井浩一 著(日本評論者 ¥1900)

1 この本は、キャリア職員であった著者が勤務体験をもとに書いた本です。

私は司法試験の選択科目で刑事政策をとったので、こういう本に興味があるので

読んでしまったと思います(現在は、この科目はない。)。

 

2 現在、刑務所の収容率116%で満員の状況である。

しかし、刑務所は、受刑者に出ていってもらう訳にはいかない。

逃げ道がないという特殊性が様々な問題の根源である(8頁)。

次に刑務所内の高齢化が進んで所内で死亡する受刑者が急増している(17頁)。

 

3 中国人受刑者には2つのタイプがある。

一つは「蛇頭」などの組織にお金を払って不法就労目的で密入国し、

うまく仕事を見つけられなかったタイプと「留学生崩れ」というタイプがあり、

いずれも後悔、反省が乏しく、「やってしまった事は、後悔しても戻らない。」

といった諦めがあるという指摘はその通りだと思う(48頁)。

 

4 刑務所内での精神障害者の治療については、カウンセリングは無力であると指摘する(74頁)。

また、措置入院の入院基準のあいまいさや、心神喪失者等医療観察法についての指摘も

その通りだと思う(77、81頁)。

 

5 次に刑務所内の事務が「経理夫」という受刑者から選ばれた者によって運営されている

実態も珍しい(85頁以下)。

そうでなければ、刑務官一人で何十人もの受刑者を管理できる訳がないという。

 

6 最後に、鋭い指摘の部分を紹介します。

「高齢者や心身障害者の場合は、本人がどれほど反省し、更生意欲を持とうが、それだけで再犯は防止できない。

治安対策で予算を増加し、警察官を増やして、受刑者を刑務所に送り込むのであれば、

当然、ケアにも同じ予算をかけなければ刑務所だけいくら増やしても何の解決にもならない(171頁)。」

そう思いますね。

現在、警察官は増員されています。

しかし、刑務所から出所してきた人には充分な「受け皿」がありません。

今のような社会で更生しろという方が無理なのかもしれません。

しかし、「受け皿」もなくフラフラ町を歩いている受刑終了者が沢山いるとしたら、それも問題だと思いますね。

  mae

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