コラム 「転機~私を変えた出来事~」その3

ガンに冒されて私のような体験をされた人は日本でも何万人とおられると思う。

大した正義感も使命感ももたず10年余の弁護士生活を送った私は、幸いにも仕事にも恵まれ

順風満帆であり、およそ「反省」とか「謙虚」と言った言葉に無縁であった。

そんな私を酒色におぼれた深夜帰宅や傲慢な人との対応から救ってくれた出来事のように思っ

ている。

 

妻の死は私に、「人は死ぬものである。」というきわめて単純で大切なことを教えてくれたのである。

だからこそ、毎日毎日を大切に生きて、生きて、生き貫くことが人間に与えられた使命であるという

ことを認識させてくれた。

また、これまで断絶していた子供との語らい、子供が精神的に成長していく様子の大切さを、

さらには信頼感を回復させてくれた出来事のように思う。

 

弁護士という仕事について、社会の人はどう思っているのだろうか。

勉強ができて、金も少々あって、しかも傲慢であるという評価をもってはいないだろうか。

バブル景気で、大きな不動産事件しかやらなかった弁護士は、お金の奴隷になっていまい逮捕され

た人もかなりいる。知らず知らずに自分もそうなっていったようにも感じた毎日を過ごしていた。

 

葬式の日の空は快晴の真っ青な冬空であった。

  mae  

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