読書案内 「走れメロス」 太宰治 著

「走れメロス」という太宰治の作品は教科書で読んだことがあると思います。

 

内容は王様に捕らえられたメロスが、妹の結婚式に帰らなければならないのですが、

そこで親友を人質に残すのです。

三日目の暮れまでに戻って来なければ、親友の命がないというような話しです。

 

教科書に載るのは友情とか正義を問題としているからだと思います。

この作品は昭和15年に書かれたものです。

この頃は、太平洋戦争が始まる前の年で、社会に不穏な状況が始まりつつある頃です。

そういう中で太宰治はどうしてこういう作品を書いたのでしょうかね。

 

その1年前の昭和14年に太宰治は、井伏鱒二の仲人で結婚していますが、

それ以前の太宰治は何度も自殺未遂や心中事件、薬物中毒になっています。

その状況を友人たちが協力して入院させて、中毒を治しました。

ようやく健康な自分を取り戻した頃に「走れメロス」を書いたと考えられます。

 

そういう作品なんだと思った次第です。

勿論、その後、太宰治は玉川上水で心中して死んでしまうことは御存知だとは思いますが。

作家がどういう体調や時代背景の時に作品を書いたかを知ることは大切だと思いますね。

 
 
次に、全く偶然に学生の頃でしたかね、よく覚えていないのですが、

有楽町の映画館で観た「死の棘」という映画について紹介したいと思いますね。

私はこの作品のベースになった小説を全く知りませんでした。島尾敏雄という作家です。

 

この映画に大変ショックを受けましたね。内容は、何年もしていた不倫を妻が知ってしまい、

その為に妻が精神に異常をきたしてしまうというものです。

夫婦の壮絶な日常を書いています。ストーリーはあんまりありません。

夫婦のやりとりだけなんです。

子供も巻き込まれていきますね。レンタルビデオに今もあると思います。

 

とにかく、怖いところがありますね。この話しは実話だと言われています。

島尾敏雄は、この小説を書いて、その清書を妻ミホさんがされたと言われていますが、

よく自分のことについて清書したなと思いますね。

妻ミホさんは、実家の奄美に帰られて、島尾敏雄が亡くなった後もずっと喪に服して

黒い服を着続けておられたという話しがあります。

 

妻からの愛とか、妻への愛という極めて身近なテーマをこれでもか、これでもかと

深く書き込んだ作品だと思いますね。

一度、ビデオか本を読まれたらと思います。怖いですよ。

  mae  

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